言葉のなかの音

11月26日のコンサートの演目のひとつ
シューベルト「楽興の時」の断片による
梨木香歩「ペンキや」
に寄せて書いたもの
から

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シューベルト「楽興の時」は
6つの小品で成っています。

ふとしたインスピレーションから生まれたと思われる
一筆書きのような小品たちです。

「楽興の時」と「ペンキや」は
それぞれの軸をもつ、まったく別の作品で
今回わたしは初め
たんたんと回るふたつの歯車
といった演目をめざしました。

でも、演ってみると
自然と音は
言葉によって表されているものに
なろうとします。

言葉なしで音が1曲通すときでさえ
ソロのときとは異なる
言葉のなかの音としての「楽興の時」
になるのを感じます。

そして、「楽興の時」と「ペンキや」は
共振もしています。
「ペンキや」のしんやの
ちょっとした才能と
それによって定められていく人生の流れは

シューベルト
音楽の神様にとりつかれて
マグマのように作品を生み出し
夭逝する運命と
そっと符合します。

ひやっとするような空気が
ふたつの作品には共通して漂っています。